人材育成・雇用管理 ワンポイントアドバイス
人事制度に関するアドバイス
1.10月より雇用保険が一部変わると聞いたのですが、どこに注意すればよいでしょうか
雇用保険法の改正により、今年10月1日以降の離職者について、基本手当(失業手当)の受給資格要件が、原則として離職前2年間に12ヶ月の被保険者期間が必要 (例外的に、倒産、解雇等による離職者(特定受給資格者)については、被保険者期間が離職前1年間に6ヶ月でも受給資格要件を満たす)と変更されます。現在は離職理由にかかわらず6ヶ月の被保険者期間があることが、基本手当(失業手当)の受給資格要件でしたので、10月からは、自己都合による退職で基本手当(失業手当)の受給資格要件を満たすためには、実に現行制度の2倍の勤務期間が必要になります。この部分が大きな改正です。
そこで、今後起こりうる問題として、6ヶ月以上12ヶ月未満という比較的勤務期間の短い被保険者の退職については、その離職理由により基本手当の受給の有無が分かれるため、退職理由に関する労使間の食い違いの増加が予想されます。また、特定受給資格者要件では6ヶ月で受給資格要件を満たすため、離職する者から「解雇にしてほしい」と要望されるケースも予想されます。(不正受給になります)
特定受給資格者要件
- 「倒産」等により離職した者
- 「解雇」等により離職した者
- 被保険者期間が6月(離職前1年間)以上12月(離職前2年間)未満であって、正当な理由のある自己都合により離職した者
自己都合であってもBの場合もあるため、次の点に注意し要らぬトラブルは回避しましょう。
- 採用時の雇い入れ通知書 (期間等の条件)
- 退職時の退職届(必ずもらう)
- 離職理由を明確にしておく(お互いの食い違いをなくすために確認をする)
回答者:社会保険労務士 吉田憲
2.わが社は、精密機械器具部品加工業を主力に、家電部品の加工も手がけています。昨今、得意先の海外進出が原因で業績は低迷しているのに、逆に人件費が増加しています。とりわけ時間外手当が仕事量に関係なく増大しています。残業届が事後の場合も多々あります。人件費の負担に関して、どのような対策に力を入れればよいでしょうか。
ステップ1 作業工程などの見直し改善
現状について、その実態を把握することから着手しましょう。時間外手当が多くなるのは、例えば作業工程管理があまり明確でないこと、また、残業届が事後に行われてしまう社内の体質に問題があると思われます。それらの問題点について、対策・改善を行い、その結果について効果を測定。所期の目標に達しなかった場合、次のステップに移りましょう。
ステップ2 人事制度再構築への取り組み
第2段階として、人事制度についてさらに掘り下げての取り組みが望まれます。ポイントとして、人件費をアップさせず、労働分配率も適正水準に維持する事を前提として進める。一般的な手順の一例を以下にあげます。
- 職能要件書の作成
・全従業員の仕事調べを実施する。次に、職務分析を行い、部門別職務内容格付け表の作成、部門別職能要件書の作成を行います。
・職能要件書の作成については、作業標準化の考え方を採り入れます。 - 人事考課制度、職能賃金制度など諸制度の構築
・成果・能力主義人事制度は、人事考課制度、職能賃金制度、昇進・昇格、異動、能力開発制度と連動させることにより意義があるので、職能要件書の作成と併行して人事考課制度、賃金制度など諸制度の構築を進めます。
・人事考課制度については、業績、能力、情意の3つの方向から、客観的・公平な評価をする仕組みを作ります。 - プロジェクトチーム、委員会の設置
専任者がいない場合、プロジェクトチーム、委員会などを設置・編成し、主体性を持たせて取り組んでもらうことも効果的な方法でしょう。
回答者:中小企業診断士 三宅鴻志
3.小規模な会社ですが社員の働きに応じて賃金を増減するようにしました。やる気を出した社員もいますが、不満をもっている社員もいるようです。どのように解決したらよいでしょう。
ポイントは2つあります。評価制度というシステムをもっているかどうか。制度運用のためのコミュニケーションを上司と部下の間でとっているかどうかの2つです。
評価制度では、仕事最終結果(成果)だけではなく、最終結果をだすための学習(能力開発)ややるべきことをきちんとやったかどうか(プロセス)、それと周囲の人とどの程度協力して仕事を進めているか(態度)などが評価対象となります。
成果だけで賃金を決めると、短期的な売上や利益に目がいくこと、個人プレイに走りやすくなることが欠点です。長期的にみると企業体質を弱めることにもなりかねません。
評価を賃金(給与、賞与)と連動させるときも注意が必要です。
毎回毎回支給額が変動する賞与では、成果に重きをおくことは当然かもしれません。
しかし、給与はどうでしょう。能力開発、プロセス、態度などにも十分注意を払う必要があると思います。
次に、コミュニケーションです。これは、社員の納得感の問題と関わっています。
どういう理由で、賞与が上がったのか、下がったのか。賃金が上がったのか、据え置かれたのか、理由が分からなければ、不満がでるのは当然です。上がった人も、ありがたいとは思いません。
評価結果のフィードバックだけでなく、その部下の足りない点や期待することを重点に話し合ってください。どのようにすれば、自分の評価が高くなるのかを気づかせることが大切です。
理想とすれば、昇給や賞与の時期だけでなく、時折、評価のことについて話し合うことが大切です。結果がでてからでは挽回がききませんからね。
競争激化の経営環境下、賃金の年功的な運用ができなくなった企業は、規模の大小を問わず、社員のやる気を引き出すためにも、評価の問題をきちんとしていくことが求められています。あまり、難しいものではなく、簡単なものから導入して、自社にあったものを作っていくことが大切に思います。





